自分がどれだけの資産を持っているか、すぐに答えられるでしょうか。
預金残高や毎月の収入であれば、通帳や明細を確認すれば把握できます。しかし、自分の事業や将来の収益につながるものまで含めて考えると、全体像を把握するのは簡単ではありません。
私は、事業を構築していくうえで、単に収入を増やすだけでなく、自分が何を所有し、何を育てているのかを把握することも大切だと考えています。
資産を、お金だけで捉えない
一般的に、資産という言葉からは、預金、不動産、株式などを思い浮かべるかもしれません。
会計上の資産は、一定の認識要件に基づいて計上されます。一方、事業を育てるという視点では、会計上の資産に限らず、将来の価値につながるものにも目を向けることができます。
例えば、自分が運営するWebサイト、蓄積した知識、独自のコンテンツ、業務の手順書などです。
これらは、必ずしも会計上の資産として計上できるわけではありません。しかし、活用方法によっては、情報発信やサービス提供、業務の効率化などに役立つ可能性があります。
ここで重要なのは、事業上の価値と会計上の資産を混同しないことです。
価値があると感じるものをすべて資産として計上するのではなく、それぞれの性質を区別して把握する。そのうえで、何を育て、どう活用するのかを考えます。
個人と事業の全体像を把握する
個人事業主や小規模法人のオーナーは、個人の生活と事業の両方に関わっています。
そのため、個人の資金、個人事業の資金、法人の資金を、それぞれの所有者や会計上の区分に応じて管理することが重要です。
例えば、個人名義の預金と法人名義の預金は、同じように自由に使えるお金ではありません。事業に使っているパソコンやWebサイトについても、誰が所有しているのか、どのように管理しているのかを確認する必要があります。
一方で、オーナー自身が経済基盤を考える際には、それぞれを完全に切り離して終わりにするのではなく、全体像を理解する視点も役立ちます。
個人と事業の資金を区別しながら、それぞれがどのような役割を持ち、どのように密接につながっているのかを全体を把握するのです。
貸借対照表から見えるもの、見えないもの
資産を把握する方法の一つが、貸借対照表(BS=バランスシート)です。
貸借対照表を見ると、会計上認識された資産、負債、純資産の状況を確認できます。単に売上や利益を見るだけでは分かりにくい、資金や財産の構成を理解するための手がかりになります。
ただし、貸借対照表だけですべてを把握できるわけではありません。
例えば、自分が身につけた知識や、将来の事業に活用したいアイデアなどは、事業上の価値があったとしても、そのまま会計上の資産になるわけではありません。
だからこそ、会計上のBSと、自分が事業を考えるための資産一覧を区別して持つという発想が生まれます。
前者で財務状況を確認し、後者で今後育てたいものや活用したいものを整理する。それぞれの役割を理解することが大切です。
資産を把握することから、次の行動を考える
自分の資産を整理する目的は、一覧表を完成させることだけではありません。
何が不足しているのか。どの資産を活用できるのか。どの知識や仕組みを育てたいのか。こうした問いを通じて、次の行動を考えることに意味があります。
例えば、日々の業務で得た知識を記録する。繰り返し行う作業を手順書にする。運営しているWebサイトに記事を蓄積する。
こうした取り組みが必ず収益につながるわけではありません。それでも、経験を記録し、活用できる形に整え、必要に応じて改善していくことは、将来の選択肢を増やすための一歩になります。
私は、こうした考え方を「オーナー経営のための統合資産思考」として整理していきたいと考えています。
お金だけでなく、所有する仕組みを育てる。そして、会計上の資産と事業上の価値を区別しながら、自分の持続可能な経済基盤を理解すること。
オーナーとして何を持っているのかを把握することは、これから何を育てていくのかを考える出発点になるのではないでしょうか。